愛☆まどんな|作家紹介・作品の世界|

愛☆まどんな

 

☆略歴☆

1984 東京生まれ
2003 都立芸術高等学校美術科デザインコース 卒業
2004 美学校/会田誠バラバラアートクラス 卒業
2007 「愛☆まどんな」始動
2012 愛☆まどんなプロダクション設立
 
 
☆作家Bio☆

愛☆まどんなは1984年東京都生まれ、現在も東京を拠点に活動する現代アーティストである。2003年に東京都立芸術高等学校美術科デザインコースを卒業後、会田誠主宰の美学校「バラバラアートクラス」にて学び、独自の感性と表現方法を研鑽した。2007年より「愛☆まどんな」としてライブペインティングを始め、展覧会、マンガ作品、ミュージシャンやアイドルとのコラボレーションなど、ジャンルを越えた多彩な創作活動を展開している。2019年には初のマンガ作品『HAKUA』(Stoke Inc.刊)を発表し、物語性を伴うマルチメディア表現の世界へも踏み出した。

彼女の作品の中心には常に「美少女」が存在している。このモチーフは、幼少期に抱いた曖昧で鮮烈な身体への憧れや感情が、思春期を経て「美少女」という象徴へと昇華されていったことに起因している。美少女は単なるビジュアルアイコンではなく、彼女自身の欲望や情動の投影であり、癒しと救済の対象である。ときに無垢で、痛ましくも、確かに“生きている”少女たちは、まるで神聖な存在としてキャンバスに描かれる。

愛☆まどんなは、自身の作品を「否定ではなく肯定から出発するアート」と捉えている。近代アートが「破壊による創造」を繰り返し、特に「女性像」がその対象となってきた中で、彼女は「少女」という存在の持つ複雑な魅力――無垢さ、妖しさ、危うさ――を、あくまでも祝福し、肯定する視点から表現している(※出典:山田玲司『女神の肯定』2022.10.31)。少女が持つ「残酷さ」や「醜さ」は表層から取り除かれ、鑑賞者の想像力の中に委ねられている。

作品に頻繁に登場する「下着を身につけていない少女」は、その描写が性的な意味にとどまらず、むしろ「自然な存在」としての美少女を表している。羞恥や社会的な規範から解き放たれた姿は、従来の女性表現の常識を静かに覆す構造を持つ。愛☆まどんなは、こうした表現を通じて、現代日本における新たな信仰――「少女」を偶像とした信仰――を探ろうとしている。

彼女が描く少女像には、日本マンガ史における「美少女キャラクター」の系譜が強く反映されている。手塚治虫を起点に、吾妻ひでお、内山亜紀らが築いてきた系譜に連なりつつ、特に『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイに代表される「人形化された少女像」に大きな影響を受けている。だが、彼女の作品に登場する少女たちは、単なる記号的キャラクターではなく、その内面や“裏側”に宿る痛みや闇、そして命の気配までもを孕んでいる。

興味深いのは、彼女が美少女というモチーフに「絶望」や「暴力」を投影せず、あくまで「愛」と「信頼」を持って描いている点である。美少女を「心が通じない存在」として描く多くの男性作家とは異なり、彼女は一貫してその存在と対等な関係を結ぼうとしている。そこには、小動物や天使を無条件に愛するような、純粋で温かな眼差しがある。

また、愛☆まどんなの制作手法は、色・線・形といった視覚的要素を繊細に解体し、再構成するプロセスを通じて「新たな美少女像」を創出するものである。これは単なるアイコンの再生ではなく、生命が誕生する瞬間に立ち会うような神秘性をも感じさせる行為だ。その再構成は暴力的ではなく、深く内省的であり、彼女自身の美意識と信仰のような精神性に基づいている。

愛☆まどんなにとって「美少女」とは、時に神話的な存在であり、また宗教的偶像であり、さらには「愛の象徴」である。現代社会において薄れていく信仰や神聖性を、美少女という大衆文化のモチーフに託し、彼女はそこに再び“温かな血”を流し込んでいるのだ。

鑑賞者は彼女の作品を通じて、懐かしくも新しい感情を呼び起こされる。それは、かつて信じていた“何か”をもう一度信じ直すような体験である。キャンバスに閉じ込められた少女たちは、祝福と祈りを纏いながら、観る者の心に静かな癒しと再生の光を届けるのである。
 
 
☆主な個展☆

2009 「きゅぴんっ」(ミヅマ・アクション/東京)
2009 「果実」(antique studio MINORU/東京)
2010 「セキララ美少女積乱雲」(galaxxxy/東京)
2011 「愛☆まどんなトリックアート9Fでございます」BT gallery(東京)
2012 「初も〜え -愛と辰-」(DIGINNER GALLERY WORKSHOP/東京)
2014 「顔色が悪いのは私のせいじゃない」(PixivZingaro/東京)
2014 「幸せの黄色い…」(VV渋谷宇田川/東京)
2017 「曖昧なUミーハーな愛」(AWAJI Cafe and Gallery/東京)
2017 「晴れと天才」(WALL原宿/東京)
2019 「ゴミか宝か」(VV渋谷本店/東京)
2023 「ゴミか宝か」(VV渋谷本店/東京)
2024 「同情するなら金をくれとは言っていない」(GR gallery NYC/ニューヨーク)
2025 「Star’s Eye」(たけだ美術/東京)
 
 
☆主なグループ展・イベント等☆

? 「ぺこっ展」(みなとみらい駅近くのギャラリー/横浜)
2004 「船出」バラバラアートクラス3期生展(/横浜)
2004 「日常の変貌 – Les metamorphoses du quotidien -」(群馬県立近代美術館/群馬)
2004 「こたつ派2」(ミヅマアートギャラリー/東京)
2005 「西荻ビエンナーレ」(会田誠邸/東京)
2005 「- Since 1994 – ミヅマアートギャラリー10周年記念展」(ミヅマアートギャラリー/東京)
2005 「会田誠 展『恋の前厄』- 愛ちゃん盆栽 -」(ミヅマアートギャラリー/東京)
2005 「有隣荘 春の特別公開 – 愛ちゃん盆栽 -」(大原美術館 有隣荘/岡山)
2006 「GEISAI #10」(東京ビッグサイト/東京)
2007 「アートで候。」会田誠 山口晃展 – 愛ちゃん盆栽 -」(上野の森美術館/東京)
2007 「JAPAN WEEK 2007 in Warszawa」(/ポーランド)
2007 「東京コンテンポラリーアートフェア」(東京美術倶楽部/東京)
2008 「時々」(TURNER GALLERY/東京)
2008 「“Tokyo Nonsense” in L.A.」(SCION Installation L.A./ロサンゼルス)
2008 「コバルトブルーを追いかけて」(ゼンシ/東京)
2008 「全員展!!!!!!!!」(MAGIC ROOM?/東京)
2009 「Eyes & Curiosity (眼差しと好奇心) vol.5」(Soka Art Center/台北)
2009 「時事」(TURNER GALLERY/東京)
2009 「ヒーロー」(TURNER GALLERY/東京)
2009 「別府現代芸術フェスティバル2009混浴温泉世界」(わくわく混浴アパートメント/大分)
2010 「眼差しと好奇心vol.6」(ミヅマアートギャラリー/東京)
2010 「Entrance Fee – drawings by emerging artists」(Art Market WHOLE/東京)
2010 「NEW WORLD」(island/東京)
2010 「ちょっとだけょ、あんたも好きねぇ」穏やかとの2人展(TANA_Gallery/東京)
2010 「ネオコス展」(MIG×WALL/東京・福岡)
2010 「ちょこっとラブ」(antique studio MINORU/東京)
2010 「カレー部部長と副部長による二人展」(antique studio MINORU/東京)
2011 「SPINCOLLECTIF TOKYO exhibition/FLYING SAUCER ATTACK」(DIGINNER GALLERY/東京)
2011 「全国アート物産展!!」(NADiff gallery/東京)
2011 「わくわくSHIBUYA」(ワンダーサイト渋谷/東京)
2011 「キャラクターパーティー feat.ネオコス展」(大丸心斎橋北館/大阪)
2011 「シブカル祭り2011」(渋谷PARCO/東京)
2011 「卯展決行」(island MEDIUM/東京)
2011 「けすいぼなーれろ!」(霧島アートの森/鹿児島)
2011 「My First Art Life」(西武渋谷店 美術画廊/東京)
2012 「シブカル祭り2012」(渋谷PARCO/東京)
2012 「南宇都宮石蔵秘宝祭」(ギャラリー悠日/栃木)
2012 「デザインとアート展」(Gallery Conceal/東京)
2013 「シブカル祭り2013」(渋谷PARCO/東京)
2013 「循環」(フンドーキンマンション/大分)
2013 「HELLO, SHIBUYA TOKYO WITH SINGAPORE」(株式会社パルコ/シンガポール)
2014 「シブカル祭り2014」(渋谷PARCO/東京)
2014 「マコ・プリンシパル presents『さくらんぼ畑でつかまえて♡』展」(SMART SHIP GALLERY/東京)
2014 「IMPACTS! ・勢み」(Zane Bennett Contemporary Art/サンタフェ)
2014 「AKIBANOISE3.0」(island MEDIUM/東京)
2014 「3331 ART FAIR – Various Collectors’ Prizes -」(3331 Arts Chiyoda/東京)
2015 「CREATORS TOKYO」(青山spiral/東京)
2015 「JAPAN EXPO」(JAPAN EXPO/パリ)
2015 「血の気も匂いも恋と化す」ヌケメとあいまの2人展(PARCO GALLERY X/東京)
2015 「SHIBUKARU MATSURI goes to BANGKOK」(株式会社パルコ/バンコク)
2015 「超京都 artkyoto 2015」(京都文化博物館 ミュージアムギャラリー/京都)
2016 「シブカル祭り2016」(The Jam Factory/東京)
2016 「熊野筆×愛☆まどんな」(オーペークオオサカ/大阪)
2017 「相沢梨紗領域-喫茶天-」(AWAJI Gallery/東京)
2018 「SHIBUKARU MATSURI BY PARCO ~澀谷文化節 BY PARCO~」(株式会社パルコ/香港)
2019 「Eyes & Curiosity—Flowers in the Field」(ミヅマアートギャラリーシンガポール/シンガポール)
2019 「Kizuna AI & YuNi x CREATORS by Stores」(WHITE GALLERY produced by STORES.jp/東京)
2019 「第24回NHKハート展」(全国10会場巡回展/)
2019 「優しい眼差し 温柔的视线」(HWA’s Gallery/上海)
2019 「LA Art Show 2019」(ミヅマブース/ロサンゼルス)
2020 「ややこしの関係」愛☆まどんな×BIRDMAN2人展(BLOCK HOUSE/東京)
2020 「RISO IS IT」展(OIL by 美術手帖ギャラリー/東京)
2020 「ART021」(HWA’S Gallery/上海)
2021 「渋谷のアートの酉の市」展(OIL by 美術手帖ギャラリー/東京)
2021 「SAGA日の出プロジェクト」(株式会社山下PMC、佐賀県/佐賀)
2021 「内山亜紀原画展」(ギャラリー茶坊「椿」/東京)
2021 「ART OSAKA 2021」(ミヅマブース/大阪)
2021 「ART FAIR ASIA FUKUOKA」(家入コレクションブース 博多阪急/博多)
2022 「SEATTLE ART FAIR」(GR Galleryブース/シアトル)
2022 「LA ART SHOW」(ミヅマブース/ロサンゼルス)
2022 「ART FAIR TOKYO」(ミヅマブース/東京)
2023 「初音ミク × イセタン ~ Happy 16th Celebration in ISETAN !!」(伊勢丹新宿/東京)
2023 「水木しげる氏の生誕100周年トリビュートアート展『鬼太郎EXPO』」(池袋サンシャインシティ文化会館/東京)
2023 「NFT ART TOKYO」(XYZA x HAKUAブース/東京)
2023 「At art stage OSAKA」(XYZAブース/大阪)
2023 「愛☆まどんな×山田玲司『白亜』特別版 刊行記念展。」(銀座蔦屋書店/東京)
2023 「ART021 上海」(APOL Galleryブース/上海)
2023–24 「PORTRAITS: The Tenth Anniversary of The Long Museum」(The Long Museum/上海)
2024 「Palm Beach Modern + Contemporary」(GR Galleryブース/フロリダ)
2024 「新世界:混沌宇宙——日本理光畫廊藝術家羣展」(RICO ART Gallery・Harmony Art Gallery/上海)
2024 「A Fixed-Point Observation from Two Billion Light-Years Away」(Tang Contemporary Art/香港)
2024 「ART021香港」(Tang Contemporary Art/香港)
2024 「5th Anniversary Exhibition『都市と自然/Urban and Nature』」(OIL by 美術手帖ギャラリー/渋谷)
2024 「余白のアートフェア / MARGINAL ART FAIR 福島広野」(余白のアートフェア福島広野実行委員会/福島広野)